憧れた背中

私にはなりたい大人がたくさんいる。私が幼い頃からずっと憧れてきたある場所に、私のなりたい大人たちは生きている。
その場所とは、「本の中」だ。昔も今も、私の世界は本の中だった。そこで生きる人たちはいつだってかっこよかった。どんなピンチの時もあきらめることは決してしない。仲間は絶対に裏切らない。しかも、時には敵だった相手にも手を差し伸べることも平気でする。
高校生になった今、胸に突っかかりを感じる時がたまにある。故意ではないミスをした友達にみんなが怒りの矢を向ける。陰口を言う。頑張っている子の努力をなんの躊躇いもなく踏みにじる。こんな時、あの人なら...。
私は思い切って声をかけた。
「大丈夫？手伝うよ。」
「ありがとう。」
その子はそういって笑ってくれた。今はまだほんの小さなことだけど、いつか私もあの人たちの背中に追い付くことが出来るのかな。