母

「周りに何を言われても気にしないで。自分が正しいと思うことを信じればいいんだよ。」
この言葉はニュースを見て癇癪を起した私に母がかけてくれた言葉である。私の癇癪の原因は日中関係の縺れに関する報道だ。私の母は中国人で私も幼少期の一部を中国ですごした。それ故、中国人の友達や知り合いがたくさんいる。彼らは優しく、とても情に厚い人たちで、私は大好きだ。中国人全員が彼らのようではないことは知っているが、無差別に中国人を批難する発言、中国人を低く見る発言に対してはどうしても怒りを我慢しきれない。
「あなたたちは何を知っているの？」
今にもテレビに食い掛ろうとする私を母は宥める。ハーフである私と違って母は直接批難され、辛い思いをしているのに弱音も吐かない、憎悪も表さない。私も母のように自分を信じて、冷静で強い大人になりたい。